アストラル・シフト
2006年3月発行 販売価格:1000円 イラスト:杉浦のぼる様 プレイ時間:10分〜30分
この製品は既に新しいバージョンが発行されておりますので、再版の予定はありません。
内容物

このゲームは2人用です。セット内に必要な物が全て含まれています。

製品イメージ


キャラクター紹介

A4キャラクターボード    5枚
HP・LPマーカー    4個
ステータスマーカー     12個
トランプ     2セット(ジョーカー含む54枚2セット)

ストーリー

「くそっ・・・なんだってんだよ!一体」

人気の無い夜の小道を一人の少年が走る。その後ろから、不意に低い声がした。

「どうした。鬼ごっこはもう終わりかね?」
街灯の明かりの下に、揺らめくように現れたのは、年の頃なら20台半ば。
黒いコートとサングラスを纏った一人の男だった。

「な・・・なんなんだよお前!俺に何の用なんだ!」
少年、竜司は精一杯声を張り上げるが、男は動じた様子も無い。
「どうやら、君は君の中にある力には気付いていないようだね」
「ち・・・力?」
「知らないのならそれもまた好都合。何、もともと無かったと思えばいい」
男が身を翻らせると、彼の体によって作られた影がゆっくりと形を変え始めた。

「君のように、いまだ目覚めぬ力を持つものは多い。無論、ほとんどの者は気付く事なく
その力を失うが、君のような若者なら何かのきっかけでその力が目覚めてしまうやも知れぬ」
流れ出た影から、手が、足が形作られてゆく。
男の後ろで影は禍々しい印象の騎士とでも形容すべき存在へと変化した。

「皆が皆正しい力の使い方を望むとは限らない。無自覚なままに人を傷つける者もいる。
 その力に溺れるものもいる。君に恨みは無いが、災いの種は少ない方がいいのだ」

「その魂ごと、斬り捨てろ。”影の騎士”」
男が命じると、その影の騎士は勇司に向かって突進した。やはり影で形作られたその大剣を
竜司めがけて振り下ろそうとした、その刹那。

「光よ!」
叫びとともに、あたり一面に昼間のようなまばゆい光がまたたく。
ひるんだ影の騎士と少年の間に割り込むように、一人の少女が飛び込んできた。

「竜司・・・大丈夫?」
「夕子!おまえ・・・?」
竜司は息を切らせて駆けてきた幼馴染の少女を驚いた目で見る。
セーラー服に身を包んだ夕子の背に、純白の羽根が生えているのだ。

「竜司には・・・見られたくなかったな。ごめんね」
そういうと、夕子は胸の前で祈るようなポーズを取る。
「守って!白銀の女神!」
彼女の声と同時に、彼女の背から脱皮するように、ゆっくりと一人の女性が分離していく。
純白の羽に白銀の鎧。
それはまさに、影の騎士とは好対照な、光の女神とも言える存在だった。

「これは好都合。こんな田舎に2人も「シフター」がいたとはな。手間が省けるというものだ」
「シフター?」
「そちらのお嬢さんも力を使えるようだが、その本質には理解が及んでいないようだ。
 よかろう。どうせ今日で別れる定め。少し説明してやろう。」

「私の騎士も、お嬢さんの女神とやらも、本質的にはこの世の物理法則にのっとった存在ではない。
 いうなれば架空の存在だ。しかし、それらは紛れも無くここに存在している。なぜか」

「人間には、まれに強い想念の力をもって生まれてくる者がいる。そういった者たちは、心に思い描く
人、物、動物・・・そういった者たちを自分の想念の中に作り出し、友人にしたり、ペットにしたりする。
まあ、基本的なカテゴリで言うと、これは精神の病の類に近いものだがね」

「しかし、そういった者たちの中には、極稀に、他者と比べてはるかに強い想念の力を持つものが現れる。
その者たちは、己の想起する何かを、その想念の中に留めるだけではなく、現実の世界へと実体化させ、
使役し、現世に影響を及ぼすまでに至るのだ」

「それこそが、私の「影の騎士」であり、お嬢さんの「女神」であるわけだね。
私たちは、その実体化のプロセスを「アストラル・シフト」と呼ぶ。
そして、その力を持った者達が「シフター」というわけだ」

「さて、お話は終わりだ。遅かったじゃないか、アリス」
「・・・!」

夕子は後ろに突然現れた気配から女神を守ろうとした。が、遅かった。
月光の中で何かが閃いた瞬間、女神の胸甲が斜めに切り裂かれる。
「うあああっ!」
傷ついた女神の代わりに、少女が胸の辺りを押さえてうずくまる。
「アストラルが傷付けば君も苦しむ。戦うという選択肢は愚かだと思うがね」

「・・・殺しちゃって、いい?」
夕子の後ろから現れたのは、無表情な女の子だった。
ゴシックな服装に、ボロボロの人形。そして、背には大鎌を背負った兎。

「・・・させる・・・もんですか!竜司、逃げて!」
夕子は漸く衝撃から回復すると、2人から竜司をかばう。
「逃げるったって・・・どうやって」
「分からないけど・・・とにかく逃げて!」
もはや状況に対応しきれないのだろう。夕子はそれだけ言うと、女神に戦闘態勢を取らせる。

「女神は私の大事なパートナーよ。むやみに殺させたりするもんですか!」
「やれやれ・・・仕方が無いな。ちょっと痛い目を見てもらうとしよう」
男の騎士と女の子の兎は、猛然と女神へと襲い掛かる。
女神は最初のうちこそ懸命に防戦していたが、やがてだんだんと押され始めた。

「竜司・・・」
苦しみに耐え、女神をコントロールする夕子。その顔には、もはや幼馴染としての面影はなかった。

「くそっ・・・!どうすれば!どうすればいい!」
ついに、騎士の剣がクリーンヒットし、女神の姿が薄れる。
夕子は懸命に立て直そうとするが、ガクリと膝を付く。

「なに、心配しなくてもいい。ただ、その力を失うだけだ」

苦しむ幼馴染の姿が、竜司の目に焼きつく。
ドクン! 竜司の中で、心臓が大きく波打つ。
「ちくしょう・・・力だ!力が欲しい」
騎士が女神に最後の一撃を加えようとした瞬間、竜司の中で何かが弾ける音がした。

一瞬、深い穴の中へ落ちていくような感覚。
その中で、竜司は誰かの声を聞いた。
「お前も力を求めるか?」
竜司はまよわず答える。
「力が欲しい!力を貸してくれ!」

「では、我に名と形を与えよ。さすれば我はお前の力とならん・・・」

形・・・?

竜司は考える。

形・・・?

形・・・

そうか。あれか。あれがいい。

「うおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!!!!!」
突然の咆哮に、騎士の剣が止まった。
「何?」

現実へと意識が回帰した竜司の中で、何かが産声をあげる。
「さあ、我を解き放つがいい!」

声が命じるままに、竜司は意識を集中させた。
「いくぞおおおおおおおおっ!」

竜司の視界が赤く染まる。
竜司の足元で爆炎が弾ける。

そして。

竜司と夕子を守るように、1匹の巨大な竜が姿を表した。
虚空に向かって咆哮すると。騎士と兎を睨みつける。

「荒ぶる火竜!全部焼き尽くせ!」

ゲームの概要

このゲームでは、プレイヤーは想念の力を実体化して操る「シフター」となり、
同様の力を持つほかのシフターと戦います。
各キャラクターは、トランプの役(同スート複数枚や数字のペア等)によって発動する
様々なアクションを持っています。プレイヤーはこれらの役を手札にそろえて
消費することで、相手にダメージを与えたり、自分の手札上限を伸ばして役を作りやすくするといった
効果を発生させ、最終的に相手を打ち倒す事がゲームの目的となります。
各プレイヤーは1セットづつのトランプを受け取りますが、その全てを使うわけではありません。
キャラクターや戦い方に応じて、トランプのセットから40枚選び
オリジナルのカードセット(デッキ)を作ります。
それによって、揃いやすい役・揃いにくい役が出来てくるので、デッキ作成は慎重に
行う必要があります。
デッキの調整と、手札の上手なやりくりを両立させることが勝利へと繋がるのです。
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